「『シャネル』を読んで」

「『シャネル』を読んで」


昨日、プレゼントして頂いた、

「『シャネル』 シャネルを支えた8人のレジェンドと生きている

言葉」(川島ルミ子 さくら舎)

を、さっそく読了した。

久しぶりの書評となる。

川島氏本人も触れているが、シャネルについて書かれた本は、本当に

多いため、他と似たようなものにならない為に、シャネルの人生に

大きく関わった、8人のことも絡めて論じられている。

全体で219ページあり、こうした、ヨーロッパの人物伝特有の、

カタカナの固有名詞が多く飛び交うのだが、この本に至っては、

テンポが良く、非常に読みやすい

筆者は、アパレルで勤めたいと思っていたぐらい、洋服が好きなので、

いつかシャネルに関する本も読みたいと思っていたのだが、意外と

早く、その時が訪れた。

筆者がこの本の中で最も感銘を受けたのは、シャネルが非常な

読書家であったことだ。

「わたしはよく本を買ったわ。もちろん読むために。本はわたしの

最良の友だった。ラジオは噓をつく箱で、本は宝物。」

(192ページ)

とあるし、

「最も悪い本でも何かしら語るもの。何かしらの真実をね。」

(212ページ)

との、本人の言葉もある。

それだけ、シャネルは本を愛し、知識も豊富で、社交界でもその

知識量は、群を抜いていたという。

そしてまた、大の仕事人間であったようだ。

シャネルが第一線で活躍していた頃には、まだあまり女性の社会進

出がさほどでもなかったが、(もっとも、シャネルは生涯に渡り、第

一線で活躍した人間であったが)それこそ、昼夜を問わず、馬車馬の

ように働いた

大の仕事好きで有名で、その勤勉さ、仕事への探求心こそが、彼女

世界レベルの人間へと引き上げた。

しかし、こうして人物伝を紐解いてみると、シャネルも非常に

痛く、悲しい経験を積んできたことがわかる。

親しい人を何人も、それも残酷な形で失っているのだ。

偉人の人生とて、やはり栄枯盛衰、そして偉人こそ、悲劇の

連続に見舞われていたことが、よくわかる。

そこで、挫けるか、投げやりになるか、それとも、悲しみをパワーに、

逆に突き進んでいくか、の差である。

シャネルは、相当なバイタリティの人であったようだ。

最愛の人を残酷な形で失ったり、巨額の融資を抱えたりすることも

あったが、その度に、それを仕事へのパワーへ昇華し、あれだけの

芸術作品を生み出した。

このコロナ禍、仕事を失ったり、途方に暮れている方にこそ、

ぜひ読んで頂きたい作品であった。

最後に、本文211ページから、もっとも元気の出る、シャネルの

口癖を引用して、終わりたい。


「人生が大好き。生きることは素晴らしいことだと感じるの。」


2021年3月7日

安川 典孝

2021年03月07日