「撤退の早さ」

「撤退の早さ」

「三十六計逃げるに如かず」という言葉がある。

デジタル大辞泉によると、

「形勢が不利になったときは、あれこれ思案するよりも、逃げてしま

うのがいちばんよい。転じて、めんどうなことが起こったときには、

逃げるのが得策であるということ。」

とある。

つまるところ、「逃げる」に勝る戦法は無い、ということだ。

よく、小学校などでは、「何事も、あきらめずに、物事を続けること

が大切ですよ。」

と教わる。

これは、心身ともに、まだ発展途上にある、子供たちにとっては、

「何事もあきらめずに挑戦させる」、という意味で有効かもしれない

が、社会人にまでなって、この言葉の通り、

「何事も、あきらめずにチャレンジしていく」姿勢を貫く必要は無い


むしろ、「このフィールドでは無理だ」と判断したら、秒速で逃げて

いく必要がある。


誰しも、苦手なことというのはある。


先日の記事でも綴ったが、人間は、得意なこと、好きなことをする

ために生まれてきたのであって、嫌なこと、苦手なことを仕事に

するために生まれてきたのではない

嫌なこと、苦手なことに、「向き合う」時間は、確かに大切である。

受験勉強がその好例で、例えば、国立大学への進学を志す場合、

数多くの受験科目は、避けては通れない

その中には、もちろん、苦手な科目、嫌いな科目も存在するだろう。

そういう時期は、ある程度、我慢して勉強に取り組む必要がある。

ただし、一度、社会人になれば、選択肢は基本的に自由だ。

筆者の周りでも、新卒で入社した会社が肌に合わなくて、1年、

2年で他の仕事に移った人間が、後を絶たなかった。

最も、筆者の新卒で入社した地方銀行は、過酷な業務の上に、

毎週のように資格試験が課され、ドロップアウトする人間も大勢

居たが。

しかし、ここで、重要なのが、「撤退の早さ」だ。

「ここに長居してはいけない」、というのは、おそらく本人が一番、

一次情報として感じている。


何を隠そう、筆者の20代がそれであった。

今だから正直に告白するが、

「将来は自分の会社を持つ」と、新卒の頃に決めていたから、

20代で経験したすべての会社は、「腰かけ」程度に居させて頂いた。

ただし、常軌を逸するほどに、「パクリ」にこだわった。

何かを会社から盗んだというのではなく、徹底的に、会社運営の

方針、動かし方などを、見て、聞いて、盗んでいった

自分でやりたい仕事のある方は、それくらいで良いと思う。


終身雇用制度は過去のものとなり、ひとつの会社に人生をささげる、

という時代も、すでに終わった


これからは、「個人レベルの、稼ぐチカラ」重要視される時代だ。

その為には、嫌いなこと、苦手なことを仕事にするべきではない


重要なので繰り返すが、筆者の20代のように、「勉強」の為に、

嫌いなこと、苦手なことに挑戦する期間は、大切だ。

ただし、それは、「勉強期間」と割り切ろう。

どうしてもあなたが、一次情報で、「長居してはいけない」

と判断した環境からは、早期の撤退が重要だ。


「本日のポイント」

「逃げ足はとことん早く」


2021年2月18日

安川 典孝

2021年02月18日